厚生労働省から、妊娠・出産・育休などを理由とする、解雇・雇い止め・降格などの不利益な取扱い(いわゆる「マタニティハラスメント」、「マタハラ」)についての情報が公開されています。

1.「違法な不利益取扱い」とは

男女雇用機会均等法と育児・介護休業法では、以下のような「事由」を理由として「不利益取扱い」を行うことは違法だとしています。 20150401

2.「妊娠・出産、育休等を理由として不利益取扱いを行う」とは

男女雇用機会均等法や育児・介護休業法の違反の要件となっている「理由として」とは妊娠・出産、育児休業等の事由と不利益取扱いとの間に「因果関係」があることを指します。
すなわち、妊娠・出産、育児休業等の事由を「契機として」不利益取扱いを行った場合は、原則として「理由として」いる(事由と不利益取扱いとの間に因果関係がある)と解され、法違反となるとしています。
なお、「契機として」とは、原則として、妊娠・出産、育休等の事由の終了から1年以内に不利益取扱いがなされた場合は「契機として」いると判断されるとしています。

3.「妊娠・出産、育休等を理由として不利益取扱い」の例外

妊娠・出産、育児休業等の事由を「契機として」不利益取扱いを行った場合は、例外に該当する場合を除き、原則として法違反となるとしています。
そして、その例外として例示されているのは、下記の2つの事項です。
ただし、実際にはより詳細な状況等を確認した上で違法性の判断を行うとされています。

①業務上の必要性から不利益取扱いをせざるをえず、業務上の必要性が、当該不利益取扱いにより受ける影響を上回ると認められる特段の事情が存在するとき

・経営状況の悪化が理由である場合:
不利益取扱いをしなければ業務運営に支障が生じる状況にあった上で、不利益取扱いを回避する合理的な努力がなされ、人員選定が妥当である など
・本人の能力不足等が理由である場合:
妊娠等の事由の発生前から能力不足等が問題とされており、不利益取扱いの内容・程度が能力不足等の状況と比較して妥当で、改善の機会を相当程度与えたが改善の見込みがない など

②労働者が当該取扱いに同意している場合で、有利な影響が不利な影響の内容や程度を上回り、事業主から適切に説明がなされる等、一般的な労働者なら同意するような合理的な理由が客観的に存在するとき

・契機となった事由や取扱いによる有利な影響(労働者の求めに応じて業務量が軽減されるなど)があって、それが不利な影響を上回り、不利益取扱いによる影響について事業主から適切な説明があり、労働者が十分理解した上で応じるかどうかを決められた  など

●詳細は、厚生労働省HPを御参照ください。
妊娠・出産、育児休業等を契機とする不利益取扱いに係るQ&A
例えば…「妊娠したから解雇」「育休取得者はとりあえず降格」は違法です