休職制度の留意点

休職制度を設計していく上においては、下記の点について留意しておくべきでしょう。
なお、既に休職制度が規定されている会社等においては就業規則等を点検する際の視点として活用してください。

  1. 適用範囲
  2. 適用事由の明確化
  3. 休職期間
  4. 休職の発令に関する要件と手続き
  5. 休職期間中の処遇について
  6. 休職期間の取扱い
  7. 休職期間中における義務の明確化
  8. 休職の中止、短縮、終了等
  9. 職場復帰前の取扱いと手続き
  10. 職場復帰決定時の手続き
  11. 復職後の処遇・責務
  12. 復職後の再発等の取扱い
  13. プライバシー・個人情報の保護

上記の事項について、個別に説明していきたいと思います。

1.適用範囲

休職は、法令による義務付けがないため、恩恵的もしくは福利厚生的な意味合いの側面を有している制度ともいえます。

また、解雇を猶予してまで、労務提供能力の回復を待つということからすれば、ある程度の長期間についての雇用を考えていること、人材を維持・確保したいといった趣旨があるはずです。

そういった趣旨からすれば、契約社員やパート・アルバイト等といった長期の雇用を前提としていない臨時的な労働者にまで休職制度を適用すべきか否かについては検討の余地があるでしょう。

すなわち、会社として、休職制度を適用させるべき範囲をどこまでにしておくかということになります。

2.適用事由の明確化

1の適用範囲にあたる労働者がどんな事由に該当したら、休職制度を適用させることができるのかを規定しておく箇所ですので、具体的な列挙が望ましいでしょう。

休職の事由としては、例えば、①私傷病休職 (業務外の疾病のため長期の欠勤を認めるもの)、②公務休職 (公職に就いた場合に在職中の休職扱いを認めるもの)、③組合専従休職((労働組合の専従に就いた場合に在職中の休職扱いを認めるもの)、④自己啓発のための研修や留学、⑤出向などが考えられます。

また、これらの他にも会社として必要な事由があれば定めておくべきです。

3.休職期間

会社として、2の適用事由に該当した場合に、それぞれの事由に対してどれだけの休職期間を認めることができるのかをよく考慮したうえで決定していく必要があります。

また、特にメンタルヘルス不調による私傷病休職の場合には復職したものの、同一もしくは類似の傷病により再度、休職を願い出るというケースも想定されます。そのため、制度の悪用を防止するとともに、周囲の労働者の負担への配慮等からも前後の休職期間がいつリセットさせるのかについても検討が必要でしょうし、上限期間・回数等を設けるというのも一つの対策といえるでしょう。

【規定例】
1 休職期間は、会社が休職を命じた日の初日から暦日を通算した以下の期間とする。 ただし、会社が特に必要と認める場合には、期間を延長することができる。
(1) (休職事由)の場合
勤続〇年未満      〇ヶ月
勤続〇年以上〇年未満  〇ヶ月
勤続〇年以上      〇ヶ月